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2006-04-01

マグリットに会いに行く!ルネ・マグリット美術館

Photo_9 学生時代にベニスのPeggy Guggenheim Collection(ペギー・グッケンハイムコレクション)“Empire of Lights(光の帝国)”に出会って以来、マグリットは私の大好きな画家のひとりです。

一見普通の情景なのですが、よく見ると昼なのか夜なのかわからない矛盾をはらんでいて、不可思議で、でも詩情豊かな、心が静かになるような絵に魅せられたのがはじまりです。

マグリットの絵の中で特に好きなのは、“光の帝国”のほかに“心の琴線”、“無限の感謝”、 “白紙委任状” 、 “大家族”“透視” 、などなど(作品はMagritte Foundation(マグリット財団)のサイトのヴァーチャルギャラリーで少し見られますよ!)。 

Photo_10 特に“透視”からは、マグリットの絵に対する姿勢が感じられるような気がします。この絵は、画家がテーブルの上においてある卵を見ながら、成長した鳥のイメージを“透視”して、カンバスに鳥の絵を描いている、というもの。現実(この絵では卵ですね)を真剣に観察しながら、現実の何か先にあるもの(この絵では鳥)をカンバスに描いているこの画家に、私はついマグリット自身の姿を重ねてしまいます。

Photo_11 また、マグリットの絵は、タイトルにも特徴があります(たとえば空を描いた絵とカーテンを描いた絵が板張りの床に置かれている絵のタイトルが“愛の法廷”。大好きな絵の1つ“心の琴線”は大きな透明なグラスに真っ白な雲がのっている絵。テーブルクロスがかかっているテーブルに果物とワインが置いてあって、それが石化している“旅の思い出”など)。

彼の有名な絵に“これはパイプではない”というものがあります。

パイプの絵が描いてあって、下にフランス語で“これはパイプではない”とかかれています。観た人は戸惑いますが、マグリットが言いたかったのは、人は絵を見ているときにそれを絵だと忘れてしまうが、パイプの絵は本物のパイプではなく所詮絵に過ぎないのだから、煙草は吸えない、だからパイプではない、ということだそうです。

Photo_12 マグリットの絵は、彼が普段日常的に使っていたものや身近にあったものを取り上げることが多く、そのためか、あり得ないけど知っている、どこかで見たことがある気がする(心の中で見ている)というような懐かしい気持ちにさせてくれます。

また、彼の絵は(タイトルも含めて)、非現実的で不可思議なものが多く、見る人にその絵を読み解く楽しさもくれるのですが、マグリット自身は自分の作品を複雑に説明されたくなかったそうです。マグリットは言葉では説明できないものを見る人に伝えたかったと聞いたことがあります。ですので、私も彼の作品を見るときは、彼の伝えたいイメージだけを感じるような見方をするようにしています。

Magritte07_1 マグリットが妻のジョルジョットと1930~54年の24年間(マグリットが最も活躍していた時期。彼が描いた作品のほとんどはこの家で描いたそうです)住んだ家が、今は美術館になっていると聞いて、前から楽しみにしていた、ブラッセル郊外にある「ルネ・マグリット美術館」に行きました。

Magritte13美術館といっても、彼が住んでいた家のドアの前に、“Musee Magritte”と書かれた小さなマグリットのシルエットをかたどった黒い看板が置いてあるだけです。

Magritte02美術館の入り口には鍵がかかっていますので、ベルを押して入れてもらうシステムです。表札もついていて、あくまで昔のままの感じを残しているところが心憎いです。マグリットの家に訪れたみたいで嬉しかったです。

1階はマグリットとジョルジョットが住んでいた当時のままを再現してあり、2、3階には写真や私物、彼の描いた広告、12才のときに描いた油絵などが展示されています。(実際に彼らが暮らしていたのは1階のみだったそうです)。

Magritte04まず目に飛び込んでくるのはマグリットの好きなスカイブルーの壁。マグリットはよく絵の中にこのブルーを用いますが、壁はまさにその色で、まるでマグリットの絵の中に入り込んだかのような幸せな気分になりました。当時は柄物の壁紙がはやっていて、このようなシンプルでモダンな壁は珍しかったそうです。

Magritte09スカイブルーの壁以外にも、階段、窓わく、カーテン、ドア、暖炉、鳥かご、時計、街灯など、マグリットが絵の中に描いたものが、そのまま残されています(ガイドの方が、実際の絵画のデザインと見比べながら説明してくれます)。マグリットの絵画の世界を実際に見たり感じたりできるところが、この美術館の最大の魅力です。

Magritte14マグリットの本棚です。本や映画も彼のイマジネーションの源で、大の読書家のマグリットは、最先端の哲学書からコミック本、小説、辞典まで、幅広いジャンルの本に目を通していたそうです。

Magritte11 このドアの取っ手は、 “恋する遠近法”(このページの一番上の作品)や他の絵でもよく出てきます。

Magritte03ここで飼っていた小鳥が絵のモチーフになったのでしょうね。

Magritte06 マグリットがかぶっていた山高帽です(感激!)

Magritte08 マグリット美術館の前にある街灯は有名な“Empire of Light(光の帝国)”のモデルの街灯です。以前はこの辺りに沢山あったようですが、この形のものは現在はこの1本しかないそうです。家の窓の枠は“人間の条件”に出てきますね。

私はもともと美術館は絵を見に行くだけの場所ではなくて、画家の作品を通して画家に会いに行く場所だと思っていましたが、今回は特にそう感じました。ブラッセルの中心から離れていますし、分かりにくい場所にある美術館ですが、マグリットが好きな方なら、行く価値は絶対にあると思います!

こちらにはマグリットの絵画作品は展示されていないので、ベルギー王立美術館のマグリットの作品をあわせて鑑賞されるといいと思います(ただし、現在マグリット作品の殆どはイタリアのコモ湖の元ヴィスコンティ家の別荘Villa Olmoヴィラ・オルモに7月16日迄貸出中です)。

2007年春には、マグリットの作品を150点(!)収蔵する「マグリット美術館」が王立美術館内にOPENするそうです。また、詳細はまだはっきりしていませんが、今秋から日本でベルギー王立美術館展(ピーテル・ブリューゲル(父)の"イカロスの墜落"が日本初公開!)が催されるそうです。楽しみですね!

追記:

2009年6月2日に遂にオープンしたマグリット美術館(Musee Magritte Museum)の動画をいくつかご紹介します。

Musee Magritte Museum
Le Musee Magritte de Bruxelles ouvre ses portes gratuitement ce samedi
Opening Magritte Museum
Actu24 - Ouverture du Musee Magritte

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