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2007-11-18

フラ・アンジェリコの美術館!サンマルコ美術館

Firenze07_5この秋フィレンツェに行きました。
(アルノ川の南岸にある、ミケランジェロ広場の丘からのフィレンツェの眺望。)
赤茶色の屋根の連なる町並みが印象的です。)Firenze03サンタ・トリニタ橋から眺めたアルノ川にかかるフィレンツェの最古の美しい橋、ヴェッキオ橋。通路の両側にある宝石店を訪れる観光客で溢れています。


Firenze28ウッフィツィ美術館からのヴェッキオ橋。
Firenze05ヴェッキオ橋のお店。






Firenze11スピーニ・フェローニ宮殿がまるごとフェラガモ本店になっています。
2Fはフェラガモ博物館になっていて、サルヴァトーレ・フェラガモ氏の全作品を見学することができるそうです。

Firenze08サンタマリア・デル・フィオーレ(ドゥオーモ)。
フィレンツェのシンボル。ピンク、モスグリーンの色大理石を多用したイタリア・ゴシック建築。町歩きの目印になります。

Firenze17_2 ドゥオーモに寄り添う様に建つジョットの鐘楼。
Firenze09ミケランジェロが「天国の門」と呼んだ洗礼堂の東側の門。これはレプリカで、オリジナルはドゥオーモ付属美術館にあるそうです。






Firenze10旧約聖書の物語が浮き彫りされています。







今回のハイライト!ドゥオーモから歩いて15分ほどのところにあるサンマルコ美術館へ向います。メディチ家初代のコジモの援助により建立されたドメニコ会の修道院が現在美術館になっています。

Firenze27館内に入ると、最初に通るのが修道院の院長を務め後にフィレンツェ大司教となった聖人、聖アントニーノの中庭。

Firenze262階の小さな窓は、修道士達の僧房の窓。










Firenze191階にあるフラ・アンジェリコの「キリストの磔刑と聖人達」。背景部分は青色だったそうですが、保存状態が悪く顔料が剥げて下地の灰色と赤色が更に非現実的な雰囲気を醸し出しています。
フラ・アンジェリコはキリストの磔刑図を描くときにはいつも頬を涙でぬらしながら描いていたそうです。

フラ・アンジェリコはドメニコ会の修道士であり、15世紀前半のフィレンツェを代表する画家です。生き生きとした人物表現や遠近法の採用など、ルネッサンス絵画の特徴があります。またその作品は清らかで深い精神性に満ちています。
この美術館では、彼の清らかで澄明な作品を堪能することが出来ます。

フラ・アンジェリコは絵を描くことは神から与えられた使命と信じ、一生神の愛を形に表し続けました。フィレンツェ大司教の座に推薦されたにもかかわらず、神から与えられた画僧として仕事を続けるために辞退した、また絵筆をとる前には必ず長い祈りを捧げたというエピソードもあるそうです。フラ・アンジェリコ(天使のような修道士)というのは通称で、彼の死後そう呼ばれるようになったそうです。

Firenze20修道院の階段を、一階から二階に登って行きます。階段の踊り場で歩く向きを変えた時....

Firenze22その絵は目の前の階段の上に現れました。
窓から柔らかな日が差し込んで、フラ・アンジェリコの「受胎告知」は光り輝いていました。静謐で温かいきらめき...想像していたより大きな作品でした。




Firenze23いかにも修道士が描いたものらしい静穏な画調で、大天使ガブリエルの衣服など中間色の美しさが印象的です。
(画像をクリックすると大きくなります)

「受胎告知」(大天使ガブリエルがマリアにイエスをみごもることを告げにくるシーン)は多くの画家によって描かれていますが、フラ・アンジェリコのこの「受胎告知」ほど神の愛を伝えようとする篤い信仰、神の愛に対する敬虔なひたむきさを感じられるものはないと思います。

簡潔な画面構成の中に、二人が交わす眼差しの優しさと、押さえられた動きの美しさ。特に体の全面で交差された手は新しい時代の始まりを告げるというガブリエルの使命感とイエスの授かりを、敬虔で控えめな態度で真摯に受ける聖母マリアの清らかな母性を見事に表現していると思います。

なんともいえないほの明るいやさしい色調、温かみのある清廉さ、柔らかな線、優しく、甘美な叙情性...心が和みます。

Pradoプラド美術館にもフラ・アンジェリコの「受胎告知」がありますが、それが鮮やかな色を使って喜びを表しているのに比べ、
Firenze23_2サンマルコ美術館の「受胎告知」は、静かで温かい味わいがあり、より人間的で、優雅な印象です。

Firenze25 「受胎告知」の絵の左側の廊下。2階は昔の修道院の僧房そのままで、小さな部屋に分かれています。それぞれの部屋の壁にに一つずつフラ・アンジェリコによってキリストの生涯をテーマにしたフレスコ画が描かれています。当時の修道僧達はこの小さい僧坊の中でこの絵を見ながら祈りと瞑想を捧げる捧げる日々を送ったそうです。

右側の廊下は、構想と下絵製作はフラ・アンジェリコがしたそうですが、大部分のフレスコ画製作は協力者達に任せたそうです。フレスコ画の出来は様々だった気がしましたが、すべてのフレスコ画から熱烈な信仰心を感じられました。淡い色の壁に淡いフレスコ画と小さな窓があるだけの部屋なのに、なぜか穏やかで温かい空気を感じました。それぞれテーマが異なり、画風も微妙に違うので見ていて飽きませんでした。

Firenze24これは僧房の一つに描かれた「我に触れるな」。 蘇った自分に触れようとしたマグダラのマリアを制してキリストが言った言葉です。

これはフラ・アンジェリコの新しい芸術様式(登場人物だけでなく、風景までも主役となっている画面構成、現実のものと非現実のものを同時に表現するための光の使い方、空間のとりかたが極めて正確であることなどの以前の絵画になかった斬新さ)が見事に結実した代表的なフレスコ画だと言われています。

この絵の中では、マグダラのマリアもキリストの表情も柔和で穏やかで、この奇跡が余りにも自然に行われたことなのだと見る者を納得させます。マリアはキリストにすがりつこうとせず、控え目に手を伸ばしています。フラ・アンジェリコは奇跡が決して大げさな稲妻を伴って起きたものではなく、穏やかな陽の光の中で、さりげなく行われたことを知っていたのかもしれません。

フラ・アンジェリコがいたこの静かで清廉で敬虔な空気が流れている修道院の僧房一つ一つをフラ・アンジェリコが描いたフレスコ画を覗きながら回廊を歩くのはとても贅沢な時間でした。

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