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2007-12-21

ヨーロッパ絵画の宝庫!ミュンヘンのアルテ・ピナコテーク

Munchen138_3レンバッハ美術館から歩いて10分ほどの場所にある19世紀前半に建設されたヴェネツィアのルネッサンス建築を思わせるアルテ・ピナコテーク(古い絵画館という意味)」
15~18世紀の700点以上のヨーロッパの名画が展示されている世界有数の美術館です。これらの絵画は16世紀前半からヴィッテルスバッハ家により、数百年にわたって収集されたものだそうです。アルテ・ピナコテーク「あらゆる芸術作品は、万人の目に触れなければならない」と言ったルートヴィヒ1世により、1836年に創立されました。
国別、年代別になっており、鑑賞しやすいように展示されていました(※画像をクリックすると大きくなります)Munchen84
ずは評判のカフェでランチ。
天井が高く、テーブル間も離れており、また係りの人の目配りが素晴らしく空いたお皿をどんどん下げてくれるので、
ゆったりと過ごせます。
Munchen85キッシュも軽くて美味しかったですし、
Munchen86アップルパイも甘さが控えめで、日本人の口に合う美味しさでした。
Munchen83吹き抜けの明るいエントランスホールを抜けると、階段は左右に別れ、どちらの展示室から見てもよいようになっています。上るのがちょっと大変でしたがちょっと幻想的な雰囲気でした。
Munchen90ドイツ美術史上、最大の芸術家とされるデューラーの「自画像」。真正面を向き自分自身をキリストに見立てたデューラー28歳の時の作品です。彼は自分の容姿・才能に自信と誇りを持っていたと言われています。他に彼の晩年の最高傑作と呼ばれている「四人の使徒」を始めとするデューラーの傑作が数多く展示されていました。
Munchen106ルーベンスの作品が多く展示されている部屋の中で、一番大きな代表作「最後の審判」(大)。縦が6mあるそうです。この美術館の部屋の高さは、この絵を展示できるような基準で設計されたそうです。そのため非常に天井が高く、広々とした空間なのですが、その空間に負けない重量感がルーベンスの絵にはありますね。アングルがルーベンスの絵を「どこか肉屋を思わせる」と言っていたと何かで読んだことがありますが、まさにそんな印象でした。
ルーベンスの絵は大小かかわらず沢山展示されていますので、ルーベンスファンにはたまらないと思います。
Munchen139デン・ハーグの有力者フレデリク・ヘンデリク総督の注文によって制作されたレンブラントの連作“キリストの受難”の中で、「十字架降下」と共に最初に手がけられた作品のひとつの「キリスト昇架」。光があたっているキリストの身体を乗せた十字架が斜めになっている珍しい構図です。
周囲の人々は闇に隠れてほとんど表情がわからないのに、唯一光があたっているベレー帽をかぶった男性はレンブラントの自画像と言われています。
受難者イエスが(画家自身を含め)全ての人間の罪を背負うという規範的な信仰を表していると解釈されているそうです。
Munchen140レンブラント「十字架降下」「キリストの埋葬」「キリストの復活」「キリストの昇天」も並べて展示されていました。レンブラントの華麗な明暗法を堪能しました。
Munchen107レンブラントの「イサクの犠牲」
多くの画家達の主題となっている旧約聖書の場面「イサクの犠牲」。イスラエルの民の祖アブラハムは、非常に高齡でイサクという待望の息子に恵まれました。神はそのイサクを神に捧げよと、アブラハムの信仰心を試すために言います。迷い苦しんだ末にアブラハムは息子イサクを山上へ連れて、神のいうとおりに息子に刃を向けますがその時、天使が現れて、アブラハムを止め、傍らに出現した牡羊をいけにえにしたという話です。
アブラハム、イサク、天使と各登場人物に光を当てて陰影を描き、この一瞬の場面をドラマティックに描いています。
Munchen108天使の制止に思わず 振り返るアブラハム。なんともいえない悲しく、複雑な表情です。
Munchen91アルテ・ピナコテークのイタリア絵画は、その膨大な作品の数もさることながら、質が高いです。特に14世紀~15世紀イタリアの絵画は名画揃いでした。ダヴィンチ21歳の時の「カーネーションの聖母子」(マリアが手に持っているカーネーションはキリスト受難のときマリアの流した涙のところから生えてきたと言われています)
がさり気なく展示されていました。ダヴィンチは作品数が少ないので、美術館で出会うと得した気分になります。他にも名作が目白押しなためこの作品に気づかない人が多かったのか、あまり観ている人はいなかったので、じっくりと堪能できました。
Munchen99ラファエロ「カンジャーニの聖家族」
Munchen100清く、美しく、慈愛溢れる聖母マリアは、ラファエロの独壇場ですね。細部まで明瞭・丁寧に描かれています。ラファエロの聖母マリアの絵は、29点あるそうです。ラファエロが8歳の時、母親が病死しているため母への憧れが、彼の聖母マリアの魅力の原点だと言われています。
アルテ・ピナコテークにはこの絵以外にもあと2点ありました。
Munchen101ちょっといたずらっ子っぽい幼子キリストの何とも言えない愛らしさ!
Munchen102フラ・フィリッポ・リッピの「受胎告知」。フラ・フィリッポ・リッピは、フラ・アンジェリコとともに、15世紀前半のフィレンツェ派を代表する修道士であり、画家です。同時代人のフラ・アンジェリコが敬虔な修道士であったのとは対照的に、リッピは修道女と駆け落ちし、結婚するなど奔放な生活を送ったことで知られています。この絵はフィレンツェのスオーレ・ムラーテ修道院から19世紀初頭に王室が購入したものだそうです。落ち着いた清楚な印象がありながら、彼の円熟期の作品らしく、遠近法を用いており、とても装飾的です。
Munchen103白い建物を基調とした清楚な背景に聖母マリアの青の衣装と、天使の赤の衣装、そして天使の金色に輝く羽、天使と聖母マリアの官能的かつ理知的な表情が印象的です。モデルはやはり奥さんのルクレツィアなのでしょうか。
Munchen105細かい衣装のひだ、床の色、建物の装飾など細部がとても美しかったです。画集で見るよりずっと明るく、透明感のある美しい絵でした。
Munchen111部屋に入ったとたん目が奪われる、ブーシェの有名でおそらく一番人気のある「ポンパドゥール夫人の肖像画」。書物を手にして、ゆったりとした姿勢で椅子にもたれかかる本を片手にゆったりとくつろぐポンパドゥール夫人。ブーシェは18世紀に活躍したロココ美術を代表するルノアールにも影響を与えた画家です。肖像画としてはとても大きなもの(201×157cm)なので、この絵の中のこの上なく華麗で、豪華で、生き生きとしたポンパドゥール夫人の美しさに更に圧倒されます。
ブーシェは、ポンパドゥール夫人のお気に入りの画家でした。ブーシェは35歳の時の輝くばかりに美しい侯爵夫人を自らの持つ技量のすべてを、この絵に投入したのでしょう。
Munchen112確固たる強い意志を感じさせる大きな瞳と端整な顔、薔薇で飾られた髪、真珠の腕輪が控えめに輝く左手の彼女の知性を象徴するかのような一冊の書物。薔薇が散りばめられたロココ調のドレス、そしてその薔薇より美しい活発そうなポンパドゥール夫人。
彼女の癒されるような美しさにうっとりしてしまいます。
Munchen147足元の愛犬ミミ、素敵な靴、薔薇の花、楽譜...細部まで楽しめる絵です。
この絵から溢れ出る幸福感に浸るため、部屋を出る前に何度も戻って見てしまいました。
Munchen113ムリーリョ(バロック期のスペインの画家で17世紀中期~後期にかけて活躍したセビーリャ派の巨匠。19世紀末期にベラスケスが再評価されるまで国内外でスペイン最大の画家として名を馳せていました)の作品は5点あって、ムリーリョの風俗画の優れたコレクションになっています。
ムリーリョの絵は、カラヴァッジョのような明暗対比による劇的な表現手法を用いていてますが、紗がかかったような柔らかく、甘美で、繊細な輝きがあるところが好きです。
特に気に入ったのがこの「小さな果物行商人」。この絵の隣にムリーリョの風俗画中もっともすぐれた作品のひとつと言われている「さいころ遊びをする少年達」があります。
Munchen114柔らかく繊細な輝きがある女の子のほっと出来るような暖かくあどけない横顔。久しぶりにムリーリョの素晴らしい絵を沢山見たので、またプラド美術館のムリーリョの作品を見に行きたくなりました。
とにかく質・量とも素晴らしい美術館です。メムリンク、スルバラン、クラナッハ、ベラスケス、エル・グレコ、ボッティチェルリ、ブリューゲル、ティントレット、ティツィアーノ.....是非アルテ・ピナコテークの所蔵作品のページをご覧になってみてください
通りをはさんで向かいにある、19世紀以降の絵画が見られる「ノイエ・ピナコテーク」(ノイエ・ピナコテークの所蔵作品のページは、アルテ・ピナコテークの鑑賞にたっぷりと時間を費やしたので、今回は行きませんでした。こちらは次回訪問する際のお楽しみ(現代アートが見られる「ピナコテーク・デア・モデルネ」も!)にしたいと思います。

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