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2008-10-11

シャンパーニュの週末①世界第3位のマム社とフジタの礼拝堂へ

Champagne_2週末にシャンパーニュ地方に行ってきました。

シャンパーニュ地方の中心都市ランスまでは、ブリュッセルから片道2時間です。ちなみに日本ではシャンパン、シャンペンとも呼びますが、正式には(フランス語では)シャンパーニュと呼びます。

ご存知の方も多いと思いますが、シャンパーニュと名乗れるのは、シャンパーニュ地方で収穫された特定のぶどう(特にピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ)を使い、シャンパーニュ製法で造られている発泡性ワインだけです。

シャンパーニュ地方観光の拠点は、ランスと、モエ・エ・シャンドンなどの大手のシャンパーニュ・メゾンの本拠地で、人口約2万人とこじんまりした町ながら住民一人当たりの収入がフランスで最も高いといわれているエペルネという町です。

Champagne2まずはランスマム社(Mumm社)へ。
マム社のメゾンは事前予約なしで訪問出来ます。

マム社の年間生産量は約800万本、世界100ヵ国以上に輸出されており、モエ・エ・シャンドンヴーヴ・クリコに続く第3位のシャンパーニュ・メゾンです。

Champagne34手入れの行き届いた綺麗な庭。
Champagne3入口にはフランスの勲章“レジオン・ドヌール”にならった白地に赤いリボンがシンボルのマム社の売り上げの75%を占めるコルトン・ルージュが飾ってあります。

マム社はF1のオフィシャルスポンサーで、コルトン・ルージュはFIのシャンパンファイト(優勝した選手たちがお互いにシャンパンをかけて祝う行為)に使うシャンパーニュです。

ガイドの方にカーヴを案内してもらった後、最後にシャンパーニュを試飲できるのがカーヴ訪問のお楽しみ。マム社の場合は最後の試飲を3種類のコース(試飲できるシャンパーニュの種類や数が異なります)から選べます。今回はグラン・クリュのシャンパーニュを3種類(Mumm de Cramant, G.H. MUMM Gran Cru, G.H. MUMM Rose)いただけるグラン・クリュコースにしました。
Champagne4ツアーが始まるまでここで待ちます。
Champagne5シャンパーニュが描かれている素敵な絵がいくつか掛けられていました。
Champagne6
Champagne7マム社のシャンパーニュは映画「カサブランカ」やヘミングウエイの「日はまた昇る」にも登場します。
Champagne8最初に大型モニターのある部屋に通され、マム社の歴史を紹介する10分程のビデオを鑑賞。
Champagne9ぶどう畑は主としてシャンパーニュでも名高い8つのグランクリュの村にあるそうです。

Champagne10シャンパーニュで使用するぶどうの品種を分かりやすく説明してくれます。
ピノ・ノワールは力強さ、ふくよかさ、果実味を与え、ピノ・ムニエは早い時期から複雑性を与えます。シャルドネは、柑橘類、ミネラルなどの香りがあり、酸味とエレガントさを与え、長期熟成を助ける役割があるそうです。

以前にもいくつかシャンパーニュ・メゾンを訪ねたことがありますが、視覚的にも分かり易い見学用ツールが整っていると感じました。

ちなみにシャンパーニュの大まかな製造過程は、以下のようになっています(括弧内はフランス語での呼び方です)。

①収穫(ヴァンダンジュ)

シャンパーニュのぶどうはすべて手摘みで行う規定になっています。

②圧搾(プレシュラージュ)

収穫したぶどうをつぶして、ワインの基となるぶどうジュースにします。ちなみにこの1番搾りのことを「キュヴェ」、「テット・ド・キュヴェ」といいます。
Champagne11③一次発酵(フェルマンタシオン・アルコリック)

伝統的な木樽やステンレスタンクに入れられアルコール発酵させます。

これはステンレスタンクです。
シャンパーニュのベースになるワインが造られます。
Champagne13ステンレスタンクに一つ一つ村名が書かれていました。
Champagne14これはオジェ村のステンレスタンク。
Champagne12_2中は白いタイル作り。

④ブレンド(アッサンブラージュ)

品質の安定と各メゾンの個性を表現する上でとても大切な作業です。品種、畑、生産年度の違いなどによってわけて醸造され第一次発酵を経たワインの原酒を、少人数の責任者によってブレンドし、各メゾンの個性を持つシャンパーニュの素となるワインを造り上げていきます

シャンパーニュは、畑や年号が違うワインのブレンドを許可された、数少ないワインの一つです。ブレンド(アッサンブラージュ)が許可されるのは、シャンパーニュ地方の気候はぶどう栽培には大変厳しく、寒さでぶどうが育ちにくいためです。

ある年は良いぶどうが収穫できても、翌年は収穫量は前年比10%となることもあり得ます。
そのため、不安定な気候の救済措置として葡萄をブレンドすることが許可されました。気候や条件良い年のぶどうをストックしておき、不良年のぶどうにブレンドすることが認められている訳です。

各メゾンはブレンド(アサンブラージュ)によって同じ味わいのシャンパーニュを造る技術を持っています。これは毎年の天候の違いによって味の違うワインをブレンドし、ベースのワインを造り、さらにノン・ヴィンテージに使うリザーブワインの個性の違いを考えながら、同じ味のシャンパーニュを造るという神業的な技術です。

ちなみに、シャンパーニュの生みの親といわれているドン・ペリニョン修道士の最大の功績は、当時はまだ行われていなかった異なった土地でぶどうのブレンドによる品質の安定化を図ったことです(現在ではぶどうではなく、ワインのブレンドです)。

⑤瓶詰め(ティラージュ)

ブレンド(アサンブラージュ)されたワイン“リキュール・ドゥ・ティラージュ”と呼ばれるに酵母と蔗糖(砂糖)を混ぜた液体を加えて瓶詰めし、仮栓します。

Champagne16⑥瓶内二次発酵(ドゥジエム・フェルマンタシオン)

ボトルの中で二度目の発酵が始まりアルコールと二酸化炭素が生まれます。瓶は湿度が高く、低温のカーブでこのように横に寝かせた状態で保管されます。

ノン・ヴィンテージのシャンパーニュは瓶詰め(ティラージュ)後出荷までは最低15ケ月寝かせることが義務づけられています。ヴィンテージ(収穫年)を表記するシャンパーニュは熟成期間がさらに長く定められており、3年間は出荷が認められていません。

実際は、この規定より更に長く熟成させているメゾンが殆どだそうです。

ボトルの中で発酵を終えた酵母は澱となって沈殿します。この酵母のたんぱく質からアミノ酸がワインの中に溶け出し、ワインにふくよかさ、厚みを与えながら熟成が進んでいくそうです。
Champagne18マム社の地下セラーはその全長が25キロメートル、2,500万本のシャンパーニュが貯蔵されているそうです。
Champagne22
Champagne15⑤動瓶(ルミュアージュ)

二次発酵の間に生じ、横に寝かしたボトルの底部に沈殿した澱を、除去しやすいように瓶口に集める工程です。

Champagne21ボトルをピュピトルと呼ばれる穴の開いた板の穴に差し込み、
Champagne19専門の職人さんが毎日1/8づつ左右に回しながら、少しずつ瓶を倒立させていき、澱を瓶口に集めます。
Champagne17_2手作業の場合は澱が瓶口に集まるまでに約3ヶ月を要しますが、ルミュアージュを行う職人さんが減ってきたこともあり、大きなメゾンでは機械によるルミュアージュも行われているそうです。
ちなみにルミュアージュを発明したのは、ヴーヴ・クリコのクリコ未亡人(ヴーヴ・クリコとは“クリコ未亡人”という意味です)。

クリコ未亡人がキッチンのテーブルに穴を開け、逆さまにしたボトルを揺する力を加減しながら澱を落とす方法を考えついたそうで、ヴーヴ・クリコのカーブではそのテーブルが展示されているそうです。今透明なシャンパーニュが飲めるのはクリコ未亡人の発明のお陰ということですね。

⑥澱抜き(デゴルジュマン)

ルミュアージュによって瓶口に集まった澱を取り除く作業。澱がたまった瓶の口の部分だけをマイナス20℃の塩水に漬けて凍らせ、その状態で栓を外すと、澱を含んだ凍った部分のみが飛び出てくる仕組みです。

⑦甘みづけ(ドサージュ)

デゴルジュマンにより減った分を「門出のリキュール」と呼ばれる甘蔗糖とシャンパーニュの古い原酒を混ぜたもので補填します。このときに加えられる砂糖の量が、シャンパーニュの甘口・辛口を決めることになります。

⑧打栓(ブシャーズ)とラベル貼り(エチケット)
打栓(ブシャーズ)後、最低半年は熟成させてから出荷となります。

Champagne20 マム社のトレードマークのコルドン・ルージュは、贈り物として、ボトルに本物のリボンをかけたことから始まったそうです。
Champagne23ツアーも終わりに近づいてきました。
Champagne24最後のスペースではシャンパーニュ造りの器具が、展示されていました。
Champagne25
Champagne26お待ちかねの試飲タイム!
Cramant個人的に一番美味しいと思ったのは、コート・デ・ブラン地区クラマン村(テタンジェなどのブラン・ド・ブランで有名なメゾンには重要なグラン・クリュです)のグラン・クリュのみ使用したブラン・ド・ブラン(シャルドネのみで造ったシャンパーニュ)マム・ド・クラマン・グラン・クリュ

シルクのような繊細で非常になめらかな口当たりの、華やかでエレガントなシャンパーニュでした。今までのシャンパーニュのイメージが変わりました。一本確か58ユーロでした。
Champagne28シャンパーニュの華やかさのせいか、皆楽しそうな表情。

Champagne33ブティック。
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Champagne32コルドン・ルージュ
Champagne37マム社から歩いてすぐの場所にある、エコール・ド・パリの画家として名を馳せた藤田嗣治(レオナール・フジタ)が80歳のときにつくったノートルダム・ド・ラ・ペ(平和の聖母)礼拝堂へ。ちなみに彼の洗礼名のレオナールは尊敬するレオナルド・ダ・ヴィンチに由来しています。
Champagne381959年、フジタはランスのサン・レミ聖堂から不思議なインスピレーションを受け、カトリックに改宗します。
Champagne39彼は洗礼親(当時のマム社の社長)とともに、聖母マリアに捧げるロマネスク様式の礼拝堂を建立することを決意しました。教会の設計と装飾はすべてフジタが手がけています。
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Champagne421966年の6月から8月にかけて礼拝堂のフレスコ画が描かれました。

Champagne4380歳を過ぎての初めてのフレスコ画への挑戦で、この礼拝堂のためにイタリアを訪れて技法を学んだそうです。
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Champagne41真ん中の白髪の男性はフジタです。

たった3ケ月で描いた受胎告知、キリスト降誕、キリスト洗礼、王座のキリスト、十字架を背負うキリスト、最後の晩餐、キリスト降下、キリストの復活など壁ぎっしりに描かれていたフジタの鮮やかな色を使い、迫力のある壮大なフレスコ画には圧倒されました。ステンドグラスもとても綺麗でした。
Champagne46シャンパーニュ地方のグラン・クリュの3つの地区の1つモンターニュ・ド・ランス(ランスの山)に向かいます。




 

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